フランスに移住して数年が経ち、日本に一時帰国した際に強烈に感じた事、それは
「日本の食文化が危険な状態になっているんじゃないか」という事なんですよね。
何故フランスは「美食の国」と言われるのか。
それは美味しい高級な食材を使った料理があるからというわけでは無く、食の安全性に対する意識が高いからなんじゃないかと理解出来るようになりました。
「ちゃんとした食材で安全に作られた食事は美味しい」
このような当然の感覚が一般論として定着している所が、フランスが「美食の国」と言われる所以なんじゃないのかなと感じています。
24時間稼働社会を作り出している私たち日本人は、経済の発達の裏で
「化学調味料」や「食品添加物」があまりにも身近に溶け込み過ぎて、
大切なものを失いつつあるんじゃないのかな。なんて思っています。
「化学調味料」を感じた日の話
フランスに移住した当初、レストランでの食事の味がなんだか「味気ない」というのか、「味がしない」というのか、そういう風に感じていたんです。
フランス料理って、もっと美味しいものじゃないの?
「日本食の方が全然美味しいじゃん。」
本気でそう感じていました。
我が家は毎年夏に日本に1か月ほど滞在するのですが、移住から2~3年目の日本滞在中のある夏、
とあるチェーン店の定食屋の食事に違和感を覚えました。
何か「複雑な味」があり、舌に残るような嫌な感じを敏感に感じました。
味は美味しい感じがするんです。
でも、表現しずらいのですが、もっと水を飲みたくなるような、食後もずっと舌の上に何かが残っているような喉が渇く感じがしました。
旦那も同様に感じていたらしく、これって化学調味料の味じゃない?と答え合わせが出来ました。
私が過去に日本で仕事をしていた際、
「ランチにしては高いけども美味しいから」と、仕事を頑張った時のご褒美ランチとしてよく使っていたあの定食屋。
でも、この定食屋以外でも、チェーン店のお店等は、もうほとんど「複雑な味」を感じてしまいました。
私、こういうものを日常的に食べていたし、尚且つ美味しいと思っていたんだ。
ただ、今なら分かる。
ちゃんとした食材、ちゃんとした調味料で安全に作った料理とは明らかに違う事を。
そうやって思い起こせば、フランス移住当時は「味がしない」と感じていたレストランの味は、素材の味に塩コショウ、ハーブや薬味のシンプルな味付けだったのですよね。
日本で徹夜したりと多忙な日々の中で、よく利用していたコンビニやチェーン店の味に慣れ過ぎていて、
化学調味料なのか、添加物なのか、
その「舌にずっと残るような複雑な味」に味覚が慣れてしまい、フランスのシンプルな味つけが物足りなくなって感じてしまったのではないかと。
それ以降、我が家の調味料は食品添加物や化学調味料の入っていない、ちゃんとした原料で作られている醤油・みりん・酒・味噌などにこだわる様になりました。
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「これは食品添加物であろう」と気づいた日
これまた日本滞在中の話なのですが、車での移動中で時間が無く、最寄りのコンビニで卵サンドを購入し、さあ食べようという時、
一口食べた子ども達が「苦い」「ピリピリする」と言って食べられずに吐き出してしまいました。
私も味見をすると、もはや舌がビリビリするし、薬っぽい味しかしません。
もうね、卵の味もしないし、マヨネーズの味もしないし、ちゃんとした塩味すらしない。
全てが変な薬の味しかしないんです。
ビックリするぐらい舌がピリピリするんです。
「これは、食べてはいけないやつだ。」
コンビニの無いフランスで、食品添加物と離れて生活をしてきたので、添加物であろうその「不自然な味」に気が付くようになってきました。
その時までは意識をしていなかったのですが、「確実に不自然な味」に敏感になっていたのです。
日本のスーパーで売られている菓子パンも、ソーセージも、クッキー等も、人気のゼロカロリー食品も、
苦い味というか、変な後味が残るような、舌がビリビリするような感覚がわかるようになりました。
※私が食の安全性について学ぶ上で、とても勉強になった本「食品の裏側」安部 司も、興味のある方にはお薦めの一冊です。
食材がすぐ腐るフランスの「食」環境
フランスではマルシェ(市場)社会が活発で、どの地域でも週末になれば町の広場にテントが設置され、新鮮な肉・魚・野菜などが手軽に手に入ります。
そこでは、日本の時短便利社会では、あまり見る事の無かった光景が見られます。
お肉屋さんでは巨大な塊肉があり、お客さんの要望に応えて、その場で部位を切り分けたり、希望の部位の塊肉をミンチにする機械で、その場でミンチにしてしまう。
今まで、ミンチなんてどの部位を使うかなんて考えた事もありませんでしたが、
こうやって食べ方に合わせて好きな部位を選び、目の前でミンチになりたてほやほやの新鮮な状態で手渡されるのは衝撃的でした。
でも、ミンチにしたその瞬間から変色が始まるんですよね。
家に帰り数時間後に使う頃にはやはり少し変色がある。
ソーセージもその場でソーセージメーカーで成形してくれる所もあり、
ハムも基本、成人の頭よりも大きなハムの塊を、その場で好みの厚さを指示し薄切りにしてもらいます。
日本では、ハムなんて薄切りになった状態でパックされたものしか購入した事が無かったので、こうやって塊の状態で売られていると、
塊の端の部分は固くて塩分が強かったり、部位によって色味が違がったりと、
無意識に「これが自然な状態なんだよな~」と当たり前の事を感じる事が出来ました。
日本のスーパーでよく見る、既に切られたハムのように、保存がきき、切り口も乾燥していなくて、満遍なくピンク色に染まったハムとは大違いなんですよね。
そして、フランスのコンビニ的存在であるパン屋のパン。
パン屋のパンはすぐにカビが生えるんですよね。
そうですよね。食べ物って当たり前に腐るんですよね。
本来は腐敗して然るべき。
日本に居るとあまり見ない光景だなと。
フランスでは、日本のように便利なコンビニは無いけれど、その代わりに毎日朝から開いているパン屋が、フランスのコンビニ的存在になります。
そして、スーパーもあるけれども、マルシェに行く人も驚くほど多いんですよね。
彼らは、食の安全性に注意を払っていて、便利なスーパーも利用するけれど、
手間がかかり値段も少し高いが安全なマルシェで食材を購入する人も少なくない。
こういった食環境が整うフランスでは、食品添加物に触れる機会が日本よりも少ないんじゃないかなと感じています。
「フランス料理」を誇る美食の国とは、
「安全に作られたものは美味しい」という当然の共通認識があり、食の安全性に対する意識が高い国かもしれない。
現に、フランスやEUでは禁止されている食品添加物は、当たり前に日本では食べられていたりする。
あれ?日本って他国に誇る独自の食文化って無かったっけ?
本来どこよりも健康的で食生活をしていなかったっけ?
「和食」はユネスコ無形文化遺産に登録されていて、世界的にも評価されているはずなのに、
日本はいつから、どこかの国を真似て食生活を壊してしまったんだろう。
祖先が一生懸命培ってきたその日本の良さを、何故自分達で潰してしまうのか・・・
人って自分の事は自分では気づきにくいのかもしれない。