そもそも、チップって渡すべき?いくらぐらい?渡さないと失礼なのか?
フランスに移住して当初は、パリの中心部のカフェの値段の高さに驚き、その上チップも払うの?なんて思い、いくらぐらい出せば良いのかと戸惑ってばかりでした。
私より9年も先にパリ生活をしていた旦那はよくチップを渡す人でした。
これがフランス流なのかな~「郷に入れば郷に従えか。」なんて言い聞かせながらも、納得しないままの数年でした。
そして自分の心とは裏腹にチップを渡したり、その日の気分で渡さなかったり、どうしてよいのかわからずに少しのモヤつきが心の片隅にありました。
しかし、今はチップを渡す行為とはどういう事か、自分なりの捉え方が確立してきました。
「チップで振り回される」のではなく、「チップは自分らしく生きる為の鍵」なんですよね。
- そもそもチップは渡すべきか?
- どんな時にチップを置くのか?
- 具体的にいくら渡しているのか?
- チップを払う事で生まれるもの
チップは渡すべきか???
フランスは全ての値段にサービス料が含まれています。よって、チップは「渡しても渡さなくてもOK」です。
フランスでは基本全ての金額にサービス料込みになっているのでチップは渡しても渡さなくても本当に良いんです。そして9年間フランス生活をしている私も、時に渡したり、時に渡さなかったりするんです。
そうなんです。私はチップを置かないことの方が多いです。
基本フランス人は気遣いが出来ない。いや、ギャルソンでもサービス精神が少ない。というのが正直な意見。
お客が来たら注文取って、商品を届けるだけ。それ以上でもそれ以下でもない。
よってカフェの値段だけお支払いするという感じです。それにサービス料も含まれていますしね。
私の周りのフランスで暮らす人もそんな感じの人が多いかな。
周りの友人たち(フランス人を含め)渡さない人の方が圧倒的。カフェでチップ置いていく人もそんなに見かけない。
経験上、タクシーの運転手は横柄な人が多い気がするので、基本、タクシーではチップを渡した事はありません。
ただ例外が一度だけあって、日本一時帰国からの空港からの帰りのタクシーではトランク5台あったので、チップを渡したら、アパートの玄関まで運んでくれました♪
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じゃあ、どんな時にチップを置くのか?
それはズバリ、気持ちの良いサービスを受けて、私の心が機嫌よくなった時にチップを渡します。意思表示ですね。
基本はチップを置く機会が少ない私ですが、チップを渡す時はこんな時。
- 求めている以上のサービス、気遣い、心遣い、敬意が見えた時
- ギャルソン(店員)の人柄→第一印象も然り、所々で出る会話がスマートで、出しゃばり過ぎず、しかも存在感を残していく時
このギャルソンなんか気持ち良い、素敵。あなたのお陰で私の気持ちが良くなったよ。という時に、その店の値段以上の価値をその人が生み出してくれた時にチップを渡します。
この人が居るのならこのお店にまた来ようかな。なんて思ってしまうような面白い人が。
特にフランスの地方に行くと、そのお店の名物ギャルソン・名物おかみ的なキャラの濃い人が多いんですよね。
別にサービスをしてもらったというよりも、この人の洒落た会話を聞きに行くといった地元の馴染みのお客さんがいて、なんだか楽しい時間を過ごせるんですよね。
具体的にいくら渡しているのか?
私は星がつくレストランには数えるほどしか行った事がないので、今回は、カフェやビストロに限りますが、だいたい1€~5€といった所でしょうか。
特に私は子ども3人連れて外食をすると、子どもが飽きてきたり、
またうるさくなってお店に迷惑をかけそうだなって時が多々あるのですが、
そんな時に少し気遣いしてくれて子ども用の注文の品を最優先で届けてくれたり、頼まなくても小皿や小さいスプーンも持ってきてくれたり、
子どもの気を引いてくれたりと、そういう事をしてくれると、会計のおつりの1€~3€ぐらい置いて帰ります。
私の旦那はよくカフェでエスプレッソを頼むのですが、よほど嫌な感じがしない限りはほぼ、端数のお釣り(30centimeとかかな)を置いていきます。
又はレストランでカード払いでも、ポケットに入っている小銭を1,2€置いて帰ります。
また、ビストロで絶妙に食事が美味しくサービスも気持ちよく、こちらへの配慮が見える時などに5€札を置いていきます。
その際は帰り際にギャルソンに、「美味しかったよ、とても良かったよ。」と言葉も残していきます。
我らが帰った後にチップを置いてある事に気づくであろう。
その際に、貴方のサービスが良かったからチップ置いていったという事を暗にわかってもらえるようにしています。彼の価値をちゃんとお金で示せるように。
チップを払う事で生まれるもの
先ずは何といっても、チップを渡すとその後のコミュニケーションがすっごく円滑になる。サービスが急に良くなったり、優しくなったりと、チップをもらって嫌な人は居ない。
私も2度程、チップをもらえるような職種に就いた経験があるのですが、
一度目はロンドンで、ホテルで住み込みで働いていた時、枕元にチップが置かれていると俄然やる気になり、綺麗に、それはもう念入りにベッドメイキングをし、次回のチップを期待したものです(笑)
二度目は日本で米兵相手のBARで働いていた時も、
これから戦闘に向かう若者がヤケクソになった絡んできた時も、色々話を聞き、世界平和って一体どうやったら保てるんだろうね。なんて話込んだ日は、「君のお陰で気持ちが楽になったよ、ありがとう」とチップをもらった事もありました。
最初は複雑だったのですが、それで渡す相手が満足してくれるのなら良い事なんだと思うようになりました。
チップをもらうと、もらった側は「もっと良いサービスをしなきゃ」と思うんですね。
あと、フランスに来て一番学んだ事。
チップって自分の心を豊かにしてくれるんですよね。
何故なら「チップを払うだけの価値を自分が過ごした事を自覚するから」なんです。そうすると、自分で自分の心を満たせるんです。
旦那はよく「お金=時間=価値」は同等である。
と言うのですが、そのギャルソンのサービスが私が支払うべき金額よりももっと価値があると判断すると、その価値に見合った金額を自分なりの判断で付け足す事になります。
それってイコール、モノの価値を自分で見定める事に繋がります。
そのギャルソンのサービスは、私にとってどれぐらいの価値があるのか、自分で客観的に判断基準を持つようになります。
そしていくら渡すかは、その価値に自分で金額を付ける事です。これは価値に対する自分の物差しを明確にする事に繋がるのです。
こうやって積み重ねていくと、社会にある全ての値段がついたものに対して自分の判断基準でお金が使えるようになってきます。
このクオリティだからこれだけの値段で納得。
なのか、ネームバリューがあっても、その価値はこの値段に値しない。のか。この「価値に自分で値段をつける作業」を積み重ねる事で、自分にとっての価値は何かが分かるようになってきます。
フランスに移住して9年目。今では自分なりのしっかりとしたお金の物差しが出来上がりました。
チップを払うだけの価値がある。→その価値のある時間を過ごした私をチップを払う事で再自覚する作業なんですよね。そうなると、もはやチップって自分の為に使っていることになります。
たかがチップなのかもしれませんが、チップで自分の身を守れたり、コミュニケーションを円滑に楽しんだり、自分自身を満足させられたり、自分の価値を再発見したりと、考え方次第でもの凄い武器になるかもしれません。
チップ文化、なんだか奥深い。そう感じる今日この頃です。
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