フランスの「コロナの自宅待機(隔離)後」の学校再開(義務教育)の進め方

フランスコロナ自粛後の学校教育の進め方 フランス生活の色々

3月17日から始まったフランスの自宅待機(隔離)が5月11日に解除されました。

いや~約2か月間、長かった~。

とは言ってもまだまだ移動制限も多く、不要不急の外出はやはりまだ歓迎されていません。

そして、段階的に学校教育も再開となりましたが、政府の要請で一クラス15名までという人数の上限が課されました。

その為、段階的に緊急性の高い子から優先的に通学させるという方法を取っています。

その進め方が慎重で、とても分かり易くオーガナイズされているなと思い、書き記しておきたいと思います。

「万全の対策を取った上でコロナと共に生きる」

因みに、私の地域(パリ近郊)は感染者の多いいわゆるレッドゾーンです。そして、自治体によってだいぶ対応に差があるようですが、私の地域の状況をお伝えします。

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コロナ自粛後の学校復学の為の権利

自粛解除 最初の1週目(5月11日から5月15日)

「国家サービス従事者」と「医療従事者」「児童福祉従事者」や「公共機関や郵便局」「葬儀関係」の子どもから優先

という事で、「緊急性の高い子どものみ」という対応で、義務教育がスタートしました。

かなり厳密な対策を取り進めながらベターな方法を模索しているような状況です。

自粛解除 2週目~3週目(5月18日~5月29日)

4段階の状況に分けて、優先順位の高い人から学校復帰になるという方法。

  • 状況1:適格な権利も持つ親の子ども→介護者の子ども・危機管理や教育関係復帰に不可欠な職業を持つ人々(リスト付き)
  • 状況2:「脱落」する状況にある子どもたち(大臣の回覧を参照)
  • 状況3:小学1年生および最終学年の子
  • 状況4:2人の親が職場に戻る義務がある子供

その状況下で以下のアンケートをし、学校側が調整するという方法です。

  1. 状況1~4にいるため、私の子供が優先されるので、子どもに学校に戻って欲しい
  2. 私の子供は優先事項ではありませんが、私は彼に学校への入学を許可してほしい(場所の空き状況によります)
  3. 私は6月1日まで子供を学校に戻したくない
  4. 年度末(7月3日)まで子供を学校に戻したくない

という事で、我が家は小学校1年生の長男が居るので状況3になりますが、長女は上記の状況に当てはまらず学校に行く権利が無い。

という事で、③の6月いっぱいは学校に行かない。を選択しました。

自粛解除 4週目以降 (6月2日~)

ここからは一般企業や店舗も実質の営業OK。カフェ・レストラン等もテイクアウトやテラスでの食事も段階的にOKという状況です。

  • フルタイムの受益者だけでなく、2人の親(またはひとり親家族)が職場(「経済的優先事項」)に戻る必要がある子供
  • 学業困難な生徒、小学1年生および最終学年
  • 時間短縮での復職や自宅でのリモートワークの子どもは週に2回
  • 利用可能な場所に応じて、その他の子供、非優先、週に1回からも受付可能

ここでもアンケートが取られ、権利のある子で希望があれば復学。

そして権利があっても学校に行かないを選択する家庭もやはり多いです。

これは親の責任で自由に決める事が出来ます。

というわけで、我が子2人(小学1年生・小学3年生)も週2回(月曜・火曜)は学校に通える事になりました。

フランスの義務教育

因みに、フランスは幼稚園3歳~5歳も義務教育なのですが、私の子どもが通う幼稚園は150名の中で40名ほどしか預かれない状況らしい。これは厳しい。

これは大変な状況な方に譲るしかない。結論、次男(幼稚園年少)は家にステイする事にしました。

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コロナ自粛後の学校内の状況は?

ここも、だいぶ厳しいです。事前に学校側からの決まりが送られてきました。

まず、子ども同士、友達に触れたらダメ。物の貸し借りもダメ。

授業中は勝手に動いては駄目。先生の指示を得ないと立つ事も不可能です。

給食は軽食のみ(サンドイッチ等)を離れて食べる。

教室に入る前に手を洗う。トイレの時間も決められていて、トイレも指定された場所に入る。

学校の蛇口から水を飲んでは駄目。

図書館のような本の共有も禁止。学校のオーディオ機材パソコン等の使用も禁止。

水は持参(ペットボトル)・アルコールジェル・マスク・ポケットティッシュなど持参OK。

校庭で先生が迎えて、教室まで離れて歩き、教室に入る際も指定された場所から、子ども同士の距離が近づかないように、徹底して先生に指示されるようです。

教室内はほぼ10名に保たれていて、教室の真ん中に机でバリケードがあり、廊下側と窓側に離れて机を置いて勉強しているらしい。

ボールなど、皆で一つのもを共有する遊びもダメ。

ソーシャルディスタンスを保てない子は家に帰されるようです。休憩時間も先生も校庭に出るので、常に誰かが子どもを監視しています。

学校の送り迎えは親の責任なのですが、送り迎えの際に、学校の前で溜まっては駄目。

すぐに退散するようにとのお触れも有りました。

我が子に訊くと、個人で学校内を動き回る事は出来ず、決められた手順を踏んでソーシャルディスタンスを保ったまま移動し、一日8回ぐらい手洗いタイムがあるらしい。

いやいや、刑務所みたいだ・・・笑

学校に行かない子の勉強はどうなる?

これは、外出禁止令が出た3月17日からずっと、各担任からメールで勉強内容が各家庭に送られてきます。(地域によって完全オンライン等それぞれ)

それをプリントアウトしてやらねばならないという事で、一日10枚ほど×2名分。

A4用紙とプリンターのインクの減りが早くて泣けてきます。

または、オンラインの教育ゲームアプリがあったり。という事でタブレットを新たに購入する羽目に。

まあ、これで経済が動くから良いのか。とか考えてみたり。

しかも、送られてくる勉強内容が多い!しかも、当然フランス語で送られてくるので、その勉強する為の「今日の学習内容(シラバス)」を読むのも一苦労・・・笑

小学1年生の長男は「学業の基礎」の学年なので、メインは算数とフランス語。

そのフランス語は発音が基本となってくるので、もうお手上げです。

翻訳読み上げ機能やらを駆使して何とか出来るか、もしくは出来ていないのか、それすら分かっていない(笑)いや、多分出来ていない。

長男の適応力に任せる事にする。

そして、小学3年生の長女のフランス語は文法が基本で、詩などは表現が抽象的で複雑すぎて理解出来ず。

読解問題の問題を読むだけで悲鳴ものです。

算数では、文章問題で私がつまずいたり、計算の方法が日本のそれとは違うので、算数の概念から取り入れていかねばならない。

図形の名称や角・直線・平行・直角やら、一から十まで分からない。英語とも全く違う単語で撃沈。

そして、化学も然り。実験の勉強は、開き直ってもはや独自で生み出した違う方法でやってみたり。

勉強するのに、学校は必ずしも必要ないのでは?

学校に行かない日が約2か月半。

大変だったけれど、以外にも「必ずしも勉強は学校だけでするものじゃない」と気づかされました。

勉強の為に勉強をすると頭がパンクしそうになるけれども、

結局日常生活を通して、子どもに「色々な事に興味や疑問を持ってもらう事」でイコール何かを知りたい(勉強)に繋がるんだよなと再認識させられました。

料理をするのに、材料を知り、材料はどこでどこでどういう風に作られて、どういう流通の下に、どうやって価格を付けて店頭に並ぶかまで伝える事が出来る。

これも実際に野菜に触ってみて感じる事だったりする。野菜に虫がついていたり、食物連鎖があって、自然界にある色の原則があって、色味で美味しさが変わる事も伝えられる。

地理によって出来る野菜が変わり、どういう消化吸収を経て何が栄養になるのか。

調味料の分量を計り、素材の違う調理器具で温まり方の違いが解り、鉄とステンレスやガラスで仕上がりに差がついたり。

出来た肉団子を盛り付ける際に子ども3人でどう均等に分けるか。

お菓子が好き過ぎる4歳の次男は、ポッキーやら小さなチョコやらを頭数で割る大臣に任命したら、食べたい欲が強すぎて、誰よりも正確に割り算が理解出来ていたり。

体験・経験させて勘を掴んだら、後から勉強として知識が入ってきても応用出来るし理解が進む。

他人発信の勉強か、自分発信の好奇心か。

だから、やっぱり知識を教える学校という場は大切だけれども、「生きていくという実践」を行って初めて知識が腑に落ちるんだよな~。

勉強は学校だけに任せる事なく親の姿勢次第だなと、全ての責任は親だよな~と再実感する良い時間となりました。

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