フランスのストライキ(12/5~) 在住者目線の影響と状況

strike in France フランスから見える景色

近代日本ではなかなか遭遇する事が無いストライキで、交通機関がマヒし、エッフェル塔やオペラ座も封鎖されたりと混乱中のフランス。

フランスに旅行の予定だけど、ストライキの状況は?観光に影響はあるの?治安は大丈夫?

在住者がストライキで実際に影響を受けている事等をお伝えします。現在、クリスマス休暇中も一部の労働組合がストライキの決行が発表されました。これからの動きが気になります。

  1. このストライキの目的は
  2. フランス国内の状況 治安と我らが受ける影響
  3. 今回のストライキに対して、在住9年目の筆者が思う事

2019年12月に始まったストライキの目的は

マクロン政権にとっての主要公約の一つである年金改革(現在42種類に分かれている年金制度の一本化)に対して、新たな年金制度で退職年齢が遅くなったり、需給年金額が減ると懸念している複数の労働組合(主に公務員)がストライキを決行し、12月5日からスタートし、本日で17日目に突入。

特に、特別な年金制度の恩恵を受けてきた鉄道業者らの労働組合が呼びかけ、パリ交通公団(RATP)、フランス国鉄(SNCF)などの公共機関のストライキが強行されている状態です。

他にも、医療従事者、航空管制官、教職員、消防隊員、弁護士らが抗議ストに突入しています。

今回のストライキで私は知る事になったのですが、そもそも、フランスの年金制度の「特別枠」がかなり優遇されているんですよね。

一般的な退職年齢が62歳にも関わらず、パリ交通公団(RATP),フランス国鉄(SNCF)の職員は、退職年齢が55歳~57歳。

国鉄の運転手は最低勤務年数15年、52歳~で退職でき、その他の保証(3人子供を育てたら10%年金額が増える 等)も、一般の労働者に比べ優遇されているなどの特権があります。

年金計算方法では、一般に25年間の給与から算出されるのに対し、公務員や国鉄職員は最後の6か月(定年前の最後の方が一般的には給与が高い)から算出される。

年金額も一般平均が15万2500円なのに対し、一般公務員が2倍に届きそうな26万6926円、SNCFは約3倍の44万8305円。

特殊制度等について、消防士、警察官、憲兵隊員、軍人については定年年齢を維持すると約束。

まあ、これは理解できますよ。それらの職業と鉄道業者が何故同じ待遇なのか。

というわけで、一番年金制度の分厚い恩恵を受けている国鉄職員がストをしているとなって一般市民は絶賛激怒中。

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パリ市内の状況 治安と我らが受ける影響

一番に気になる治安について

今のところフランスの大都市ではストライキによるデモ行進もあり、それはそこまで危険なものでは無いのですが、それに一部の暴徒化する「壊し屋」という人達が混ざり、破壊行為が伝えられています。それが厄介なんですよね。

それに対抗し、治安部隊が催涙弾を撃ち、といったまさしくテレビでよく見る状況が繰り広げられています。

なので、パリ市内のメインとなる大きな広場は近づかない方が安全です。

あとは、混雑するメトロや駅構内で、スリ集団が集まっているという情報があります。

パリ市民はもはや、このスリ集団の顔がわかっているのですが、混雑する旅行者をターゲットにしているので、普段以上に気を引き締める必要があります。

但し、私が住む郊外や、都市部以外は、そこまで治安が悪いわけではありません。

基本的にストライキをしているだけで、その抗議行動の一部のデモ行進や暴徒化したほんの一部、メインの場所だけが取り上げられるだけなので、それを回避さえすれば、静かな観光は可能だと思います。

フランス国内の状況と我らが受ける影響

公共交通機関が壊滅的です。ほぼ、運行していません。

パリメトロは2つのラインのみ通常運行していますが、その他は時間帯やラインによって状況はバラバラです。運行状況も、前日の夕方に発表される形になっています。

詳しくは地球の歩き方で詳細があるので、こちらをチェックして下さい。地球の歩き方 パリ公共交通機関の運行状況について

そして、学校の先生がストライキに入り、休校になった学校も多く、ストライキに入る先生だけ休みになるケースもある。また、交通手段が無く、自分の子どものケアもあり、出勤出来ない先生もいる。

保護者は託児の手配にてんやわんや。仕事を休まざるを得ない人も居る。

私の次男の担任もストに参加するので休みに。通っているフランス語学校に子どもを連れて行けない人が続出した為、フランス語学校自体も休校になる。

で、交通機関がマヒしている為、労働者の多くが在宅勤務や欠勤となる。この休みを有給休暇で消化する人もいる。

パリ市内だと、1時間以上かけて徒歩で出勤している人もいる。

パリの郊外に住んでいる私の旦那は、立場上出勤しないといけないので、普段は1時間もかからない通勤時間が2~3時間かかる。

しかも、時間が制限されている電車内の混み方が異常で、通勤でグッタリしている。

電車の無い時間帯はタクシーを利用しているが、なかなか掴まらないので、徒歩で数時間歩いたりする。

往復のタクシー利用で一日で2~3万出費の出る日もある。本日で17日目ですが、我が家このストのせいで破産しそうです。

配車アプリも混雑で使えず、パリ市内の端から端まで車で3時間かかるらしい。

さぞかしタクシーやUBERは潤っているのかと思えば、渋滞で逆に1人の客に数時間取られ、回らず普段よりも儲からないらしい。

渋滞で物流に影響があり、スーパーの陳列棚がガラガラだったり、丁度クリスマスシーズンで、プレゼントをネットで購入した人々の配達の延滞で、ハラハラしている人々も多くいる。

そして、クリスマスのバカンス休暇の移動が最大の問題になりそうです。これは日本の正月に帰省する感覚(日本のそれよりももっと大事にされている気がします)

知り合いは、このスト中に車にひかれ、救急車で病院に運ばれるも、多くの病院がスト中で廃墟の様だったらしい。病院に着くまで1時間、その後病院でレントゲンと撮るまでかなりの時間かかり、ぐったりとしていました。

一般市民の我らは、もう怒り奮闘です。高所得者や、年金制度の恩恵を十分に受ける人達がストライキしているわけですから、一般市民がそれで出勤が不可能となったり、学校が休校となったり、通勤に時間や余計な出費がかかるのは、皆納得が出来ないようです。

このストライキに対しての反発が起こるのではないかとも言われています。

今回のストライキに対して、在住9年目の筆者が思う事

まず、いや、もう大変ですよ。正直キツイ!通勤する労力、タクシー代が家計を圧迫、クリスマスバカンス中に予定していたお出掛けも全てキャンセル。

パリのデパートのポイントをやっとこさ貯め、利用可能となった割引。クリスマスのセール時に買い物しよう!と意気込んでいたのに、これじゃあ交通手段が無く、そのポイントは今月末で失効らしい。もはや使えない・・・悲し過ぎる。

特に旦那は怒り心頭です。仕事に影響出るから、そのマネージメントでてんてこ舞いです。

しか~~~~し、フランス人はと言うと、「しょうがないよね~」と「権利だもの。」ですって。仕事に行けないから有給を使い休む人が多数!ストに対しての意識の差を感じました。

で、スト中にひいひい言いながら通勤しているのは、我ら移民だったり、一般市民。 いわゆるホワイトカラーの人たちは在宅したり、休みを謳歌しているらしい。

なんという現実。

まあ、でも大前提で、このように「ストライキが実行される」という表現の自由に関しては素晴らしい事だと思っています。

フランスに移住して最初の頃は、ストライキで、そして暴徒化するなんて、先進国のやることなのか?もっと平和的な解決は出来ないのか?と正直思っていました。

民主主義で、マニフェストを公示した上で、国民の選挙によって決めた人が、政治をしているわけだから、やはり「選挙」が国民の意思を反映出来るものだ。なんて思っていました。

しかし、今は「ストライキは民主主義を体現するものだな」「そうでもして行動しないと、発信しないと、周りに興味をもってすらもらえない」=「物事が動かない」という事を身に染みて体感しています。

選挙が民意を示しているは、綺麗ごとかなと。

その結果が良いか悪いかは別にして、この「手段」を持っているという事はやはり「民主主義国だな」「先進国」だな。と思ってしまいます。そこに国民の意思を反映させる行動を取れるその「世情」は健全だなと

今回の件では、マクロン氏の推し進めている改革には大いに賛成です。世の中の情勢が変わってきて、平均寿命も変わり、働き方も変化した中で、大昔に決めた制度を継続するだけがベストだとは思いません。やはり、その状況に合わせて近代化が必要な気がします。

日本の政治家は大手企業にとって優しい政治、票が入りそうな、既得権益がある立場の人にとって、優しい政策が多い気がしますが、マクロン氏の今回の政策はむしろ逆ですし。

まあ、これも我らが参政権が無いから他人事のように捉えられるだけですが、当事者にしたら大変です。

「人間は立場でしか物を言わない」 人間ですもの、そういう事です。

でも、日本のように、行動した人が叩かれるような、失敗した人が再起出来ないような、空気を読んで忖度する方が大人だのような窮屈な思想は、皆を委縮させ、お互いで首を絞めているように感じます。息苦しくて単純に楽しくない。

もう負のスパイラルです。

知人のフランス人が言っていたのが印象的だったのが、「皆、それぞれに立場も権利も有る。権利は主張して初めて獲得出来るものだ」と。その人もクリスマス休暇に予定していた演劇コンサートがキャンセルされたらしい。

それでも、自分も権利を主張したいから、相手の権利もリスペクトするんですって。

大変な思いをしている人多々いる中、「しょうがない。そうすべき」と思えるその姿勢に考えさせられました。

日本も、もっと自分の意見が言えて、多様性を共感できる社会ならば生きやすいのに。皆で一斉に同じ方向に向く必要は無いし、私は私、あなたはあなたで良いのかなという気がしています。

お互い足を引っ張りあうのではなく、共感し、尊重出来る社会は、文句も言いつつも、やはり健全だな。生きやすいなと思ってしまいます。

これからの日本はどうしたら良いのかな~。と、フランスのストライキで感じる今日この頃です。