フランスに来て当初は、二日連続で同じ服を着たり、穴の開いた靴下を履きまわしてでも、毎年何度もバカンス(休暇)に出かけるフランス人が理解出来ずにいました。
「今回のバカンスどこへ行った?」という話題が会話の糸口になっていたり、
「バカンスの為に仕事を頑張る」という主張に、
もっと向上心を持って仕事に向き合わないのか・・なんて思ったり、
何度もバカンスで旅行に出るなんてなんて金持ちなんだろう。と思っていました。
そして、私より9年先に単身フランスに移住し仕事をしていた私の旦那も、「仕事の環境から離れたいからバカンスに出たい」と毎年何度もバカンス休暇に出ようとする。
私にはその考えが理解出来ずに、そのお金貯められたら・・・なんて思っていたのですが、
旦那の価値観に押され、毎年バカンスに出るようになり、最初の数年で気づきがあり、
移住から10年、もはや完全に意識が変わってしまいました。
要は、「お金を何に使うのか」つまり、「人生の何に価値を見出すのか」の違いだよなぁ~と最近は納得。


我が家は、車を所有せずにUberで移動。
子どもの習い事も本人達があまり気乗りしないようでほぼやっていなく、
塾にも通っていなく、これからも通う予定も無く、
飲みにも行かず、外食もあまりせず、美容院やネイルも行かず、
流行りの服も店も必要無い。
お金をかけるのは、自分達への投資として
健康の為の安心安全な食材と
大切な家族や友人達に会う為に日本へ帰国する事、
大切な人と会う為の時間、
本当に好きなもの、こだわりのもの
そして、心と体のバランスを取り、自分達の大切なものを大切にする為に必要なもの、バカンス(休暇旅行)へ出る事。


子ども達にとっては、
本来は、親以外の親族(祖父母や親せき)、そして私達が大切にしている友人達から愛情を受けとり、
様々な大人の生き方を肌で感じて欲しいな~と。
それが子ども達の情緒に大きく影響するよな~と思っているのですが、
日本で家族や友人達と過ごせる貴重な体験が出来ない分、バカンスでまかなうしかない。
学校でいくら知識を教えられても、それをどう「能動的に捉えるか」ってやはり、実体験で体感した脳と心の許容範囲で決まる気がするし、
学びのモチベーションは、社会生活での不思議や疑問から派生する気がする。


そして我々大人は特に、バカンスに出て
普段とは違う景色を見て文化を感じる事で、違う視点を得られ、固定観念や思い込みに気づかされる。
普段通りの日常生活を送っていると、積み重なってきた成功体験が余計に思考を強固なものにしてしまい、考え方の癖が出来上がってしまう気がする。
バカンスといっても観光地を回りまくるわけではなく、ただただ自然の中でゆっくりし、逆に何もしない。
普段の日常生活では何もしないでぼ~っとする時間を持てない分、
そのぼ~っとしている瞬間に「ひらめき」や「点と点が線になる感じ」を得られる。


人間がバージョンアップする気がする。
普段と同じ事をしていたら同じ考えが巡るけれども、普段と違う行動をする事で初めて、脳の違う場所が使われる感覚なんだよな~。
見えてくる景色が変わる事で確実に思考も変わるんだよね。風通しが良くなるというのかな。
いやいや、費用対効果が凄すぎるぜよ。
これか~。フランス流のバカンスというものは。という話。